背景と目的

 

 景観研究は、日本建築学会において多数の投稿論文を集める領域であり、都市デザインの基礎ともなる。グローバルとローカルの境界を越えて、再生可能エネルギーの導入や環境保全の広がり、相次ぐ自然災害に対応できるレジリエンスな地域づくり、そしてコロナ禍による人々のコミュニケーションとライフスタイルの変化、地方移住の増加、身近な生活環境への関心の高まりと、景観や都市デザインをめぐる状況は、未だかつて経験したことのない状況へと大きく変化しつつある。

 そこで本小委員会では、急変するこれらの状況を踏まえた景観施策の枠組みについて、研究、課題抽出、提言することを設置目的とする。

 

 

期待される効果

 

 景観は、都市や地域の歴史や文化、社会、人々の生活や生業の表出であり、景観研究は、時代の変化に即した課題設定と取り組み、蓄積された成果にもとづく将来に向けた提言の発信が絶えず求められる。本小委員会は、グローバルとローカルが触発し合う時代における、①環境保全、②自然災害に対するレジリエンス、③アフターコロナ、という3つのテーマを切り口として、今起きている現象を把握・整理し、都市計画と都市デザイン全体を見据えた上での景観施策の総合化を展望した提言が成果となる。

 各年度とも、設定したテーマに即した景観ルックインを継続して開催することで、実地的な情報収集にもとづく研究成果を蓄積・可視化・普及していくと共に、様々な地域と日本建築学会とのつながりを育んでいく。また各年度とも、研究集会や公開シンポジウムを開催することで、各テーマの知見を収集し、かつ資料集を刊行することで、研究成果の可視化と普及を図る。4年度には研究成果の集大成を書籍として刊行することで、広く社会に研究成果を還元する。また暫時、ウェブサイト上に研究活動について情報発信すると共に研究成果を公開する。