景観ルックイン2023(第30回)

 

「宇治茶生産の文化的景観」

 

主催:日本建築学会都市計画委員会グローカル景観デザイン小委員会

日時:2023年9月11日(月)13:00~17:30

 

盛会のうちに終了しました。関係各位ご参加の皆さま、どうも有り難うございました!

 

 

■主旨

近年、農林水産業に関連する文化的景観の保存・活用の取り組みが進んできた。京都府山城地域は、伝統的な生業である宇治茶の生産の存立を図る中で広域的なシステムとして景観を捉えつつ、日本茶・宇治茶のユネスコ世界文化遺産の登録を目指している。自然環境条件と伝統的な生産技術によって形成された土地利用・景観が継承される一方で、宇治茶生産の技術革新と合理化は絶え間なく続けられてきた。水系を通じて生産から流通、消費に至る一連の機能の分担が相互に有機的に立ち現れているのが宇治茶生産の文化的景観の保全・再生の取り組みを視察し、議論へと繋げたい。

 

■プログラム

13:00 集合・受付(集合場所:JR奈良線「宇治駅」南出⼝)

13:10 現地視察(堀井七茗園の抹茶⼯場、⼭本甚次郎⽒の荒茶⼯場、中宇治の覆下茶園など)

15:10 お茶と宇治のまち歴史公園 会議室着

15:30 ミニシンポジウム

第1部 世界遺産登録を⽬指す宇治茶⽣産の⽂化的景観の取り組み

 趣旨説明:グローカル景観デザイン小委員会主査 志村秀明教授(芝浦工業大学)

 パネリスト:

  国際的視野から見た宇治茶文化的景観の特徴(30分) 清水重敦教授(京都工芸繊維大学)

  宇治市の取り組み(10分) 宇治市都市整備部歴史まちづくり推進課

  静岡茶の文化的景観(10分) 阿部貴弘教授(日本大学)

第2部 グローカル景観としての茶畑(討論) 50分

 コーディネーター 阿部大輔(龍谷大学)

18:00-20:00 懇親会

 

■参加者

会員:19名、会員外:1名、学生:26名、合計:46名

 

■実施結果(概要)

 宇治茶生産の文化的景観をテーマに、京都府宇治市中宇治の山本甚次郎家の荒茶工場、堀井七茗園の抹茶工場(仕上げ茶)、寺川茶園を見学し、各工場では宇治茶生産に関する技術の進化、茶業をめぐる現状についてお話を伺いました。

 視察後のシンポジウムでは、清水重敬教授(京都工芸繊維大学)による基調講演「国際的視野から見た宇治茶文化的景観の特徴」、宇治市の取り組み(宇治市都市整備部歴史まちづくり推進課・谷澤潔氏)、静岡茶の文化的景観(日本大学・阿部貴弘教授)についての話題提供を頂いた後、会場も含め生業がもたらす文化的景観の価値づけや保全手法について討論しました。

 茶生産の文化的景観の読み解き方、宇治茶生産が備えているエコシステムの価値づけと継承等、茶工場の合理化は景観にどのような変化をもたらしたか等、有意義な意見交換や議論を交わすことができました。

(記録:阿部大輔)