過年次ミッション(生きた景観マネジメント小委員会(嘉名主査) 2017.4-2021.3)

背景と目的

 

 景観研究は日本建築学会において多数の投稿論文を集める領域であり、都市デザインの基礎ともなる。人口減少や外国人観光客急増といった状況により、景観まちづくりは都市魅力を醸成・創出し、都市をリバイタライズする手段として実効力が期待される。そこで本小委員会では、活力ある都市を実装、可視化する「生きた景観の創造とマネジメント」を展望し、研究、課題抽出、提案を行うことを設置目的とする。

 持続再生景観小委員会(〜2016年度)での景観法10年の検証において、今後の景観まちづくりは地域価値を向上させるマネジメントの充実を課題として提示した。本小委員会はこの成果に着想を得て、景観まちづくりの新たな枠組みを構築し「つくる時代からつかう時代」への本格的適応を目指す。「生きた景観」とは、「生き生きとその都市を物語る景観」であり「都市の営みの象徴」「市民らによる自律的創造」「使い手の視点に立ったマネジメント」が重視された景観である。都市の魅力を生み支える計画技術である「生きた景観の創造とマネジメント」は、東京オリンピックを2020年に控え、タイムリーな取り組みとして位置づけられ、学会の社会的使命として重要と考える。

 

期待される効果

 

 景観は都市を写す鏡としての役割をもつ。中心市街地の空洞化はシャッター街の街並みを生む。その解決は、空き家生成のメカニズムにまで遡り、景観施策とまちづくりとの一体的応答が必要となる。また、エリアマネジメントと連動したまちなか広場等での演出により時間・季節で変化する期待感ある賑わいのシーン創出も広がっている。さらに外国人観光客の増加により、都市を象徴し魅力・個性を表現する景観の重要性も高まっている。本小委員会では、持続再生景観小委員会(〜2016年度)での成果を踏まえ、地域価値を向上させる景観マネジメントの充実に注目した。いわば、つくる時代からつかう時代への本格的適応が大きな主題である。「生きた景観の創造とマネジメント」に焦点をあて、現状の課題を抽出し、課題解決に向けた技術や制度の提案を行う。また、2020年のオリンピック・イヤーには30周年を迎える景観ルックインにも継続的に取り組み、全国各地の取り組みと連動した成果の可視化・普及をはかる。