2019年度日本建築学会大会 都市計画部門 研究懇談会

 「生きた景観マネジメントの実践」

 9月6日(金)14:00~17:15

 

【主旨】

 半世紀の実践を経て、景観づくりは、「保全」か「創造」の二項対立軸から、「保全」と「創造」が共生・共存する段階へと移行しました。まちの景観は、新陳代謝を繰り返しながら、重要な歴史や文化を継承し、空き地や空き家などの衰退や空洞化と向き合いながら、都市の価値や活力を生む活動を展開し、協議や対話により継続的に景観をマネジメントしていく「状態コントロール」へ展開するなが、多元化しはじめています。つまり、これまでの景観施策の中心であった景観計画による届け出や基準に基づく規制・誘導といった方法のみならず、つくらない景観への対処、多様な担い手の参画、都市を象徴する風景の創出、時間や季節により移り変わる景観の演出など、多様な領域への広がりが浮かび上がってきます。

 そこで、本懇談会では、この「生きた景観」に着目します。生きた景観とは、景観を成立させている様々な環境の変化を受けながらも、「いまも生き生きとある都市やまち、場所を物語る景観」として捉えてみたいと考えています。また、まちや地域の営みを象徴し、空間と居住者・来訪者など人々が空間を使うことで生まれる場を表現する景観であり、観察者・参加者らも景観の担い手として関与する性質を持つと考えています。

 こうした生きた景観を生み、育てるマネジメント手法を景観づくりの新たな展開の手がかりとして捉え、景観まちづくりにおける方法論の拡張を提言し、都市づくりにおける景観の意味や価値を改めて問い直すきっかけとしたいと考えております。

 

【プログラム】

司会  佐藤 宏亮(芝浦工業大学)

副司会 大影 佳史(関西大学)

記録  阿久井 康平(富山大学)

1.主旨説明 嘉名 光市(大阪市立大学)

2.主題解説

❶まちなか広場が生きた景観を育てる:山下 裕子(まちなか広場研究所)

❷生きた文化継承システムとしての祭礼と文化:松井 大輔(新潟大学)

❸観光と生きた景観マネジメント:沼田 麻美子(東京工業大学)

❹金沢市の景観マネジメント〜金沢市景観半世紀の取り組み〜:不破 正人(金沢市都市整備局

 景観政策課)

❺生きた景観マネジメントの保全〜法律の立場から〜:日置 雅晴(弁護士)

3.討論

4.まとめ 三宅 諭(岩手大学)